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全身性エリテマトーデス(SLE)とステロイドの副作用 [SLE]

いつもご訪問いただきありがとうございます!
今回の記事の意図をちょっと説明しておきます。

私は、持病のSLEについて、もっと世間に知ってもらいたいとつねづね思っています。
長年この病気と付き合ってきて、以下の手紙の内容を伝えたいと思うような人にたくさん出会いました。
この記事が今後ずっと残り、少しでも多くの人の目に触れるといいなと思っています。

この話は2年前のことで、今はすっかり元気です(*^^*)
できたら軽い気持ち?で読んでいただけると嬉しいです。(無理かな^^;)

前回の記事はこちら→「10歳で指定難病SLEになった私の悩み

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送別会のあと、仕事が手につかなくなった私はOさんに手紙を出すことにした。

以下は私がOさんに送った手紙の内容である。
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Oさんへ

突然の手紙で失礼します。
先日は送別会に呼んでくださりありがとうございました。
久しぶりにみんなに会えて、Oさんともおしゃべりができて楽しかったです。

ただ、最初の私に対する発言の件が残念で、あの日以来ずっと落ち込んでいます。
悪気がなかったことはよくわかっています。でも、モヤモヤが消えません。
気分が沈み、食欲がなく、眠れず、仕事が手に付きません。日々の生活に支障が出て困っています。
そこでこうしてご連絡を差し上げた次第です。

ぜひ最後までお読みいただけたら幸いです。

まず、私がなぜこんなに背が低いのかを説明しますね。

私は10歳のときに「全身性エリテマトーデス」という難病を患いました。
膠原病の一種で通称「SLE」とも呼ばれています。
10歳だった小5から中3まで、Y病院に入院しながら併設された養護学校に通っていました。

病気について詳しいことは省略しますが、原因不明の不治の病です。
70年ほど前までは5年生存率が50%もありませんでした。
でも、ステロイド薬が開発され、SLE患者でも私のように普通に生活できるようになりました。

救世主であるはずの薬ですが、ステロイドにはたくさんの副作用があります。
もうひとつ病気を抱えているようなもので、「副作用のための薬」もたくさん飲んでいます。
そして、私はこのステロイドを一生飲み続けなければなりません。

この副作用のひとつに身長が伸びないというのがあります。
薬の作用により成長ホルモンの分泌が阻害されるのです。
私が過ごしたY病院には、同じようにステロイドを飲んで治療を受けている子どもたちがたくさんいました。
皆、私と同じような身長で、大人になった今でも当時の友人たちは私と同じくらいの背丈です(私より低い人もいます)。
その中に腎不全の男の子がいましたが、彼は小学校低学年のときに病気になった(=ステロイドを飲み始めた)ので、高校生の時点で身長が130㎝ほどでした。
高校卒業のころ腎臓移植を受けることができ、晴れて退院となったときには、特例で成長ホルモンを投与されたと聞いています。

ステロイドには他に「ムーンフェイス(満月様顔貌)」という副作用もあります。
「ステロイド ムーンフェイス」などで検索すると、私のように顔だけが丸い人の画像がたくさん出てくると思います。
SLEという病気は女性が多く、皆このムーンフェイスに悩まされます。
顔が丸くなるのがイヤで勝手に薬を止め、重篤な状態または死亡するというケースもあります。
なので私は主治医から「絶対に勝手に薬を飲むのをやめたり、減らしたりしてはいけない」と口を酸っぱくして言われてきました。

話が逸れましたが…
要するにステロイドはSLE患者にとって重要な薬であり、皆その副作用に悩まされているということです。

身長のことに話を戻しますが、薬を飲み始めてから私の身長は止まりました。
今の身長は10歳当時のものです。

こんなことがありました。
中学生(まだ入院中)になった私はある日、病院の洗濯室で自分の洗濯物を干していました。
そのとき、誰かの保護者なのか…母親くらいの年齢の女性が通りかかり私に話しかけてきました。
その人は私に学年を聞き、中2だと答えると「小学生かと思ったわ!」と言って去って行きました。
この出来事はとてもショックで今でも忘れられません。

外泊時バスに乗ったとき、中学生なので大人料金を支払ったら、バスの運転士に「あんた中学生なの?小学生かと思った」と言われたこともありました。

こうして、中学生のときから私は身長のことで傷つけられてきました。
その頃はまだ子供だったから、「大人」からそんなことを言われるのが信じられず心に大きな傷を負いました。

中学卒業と同時に退院しましたが、その後も知らない人からジロジロ見られたり、初対面で身長のことをからかわれたりするたびに傷つき、外に出るのが怖かったです。
必死で笑顔を作り、バカにされないように明るく振る舞ってきました。

うちは亡父が長身で、弟も187cmあります。
私も病気になる前は足だけは大きかったので「ミケシマもお父さんに似て背が高くなるね」なんて言われていました。
従兄はみな180cm以上、従妹たちも160cm以上の身長なので、親戚の中に混じると、背が低く顔の丸い自分が異質でとても惨めです。

病気にならなかった自分の姿を想像しない日はありません。
普通に成長してみたかった…。とても悔しいです。
せめて、あと3年発病するのが遅ければ…とも、何度も思いました。

もしかしたら、「こんなことでそんなに傷つく?」と思われるかもしれません。
でも、中学生の頃に大人から言われたトラウマや病気で辛かったことなど…
いろいろなことが重なって、身長のことを言われると体の不調につながるほど精神的に追い詰められます。

こういうことが起こるたびに私の心は抉られ、消えない傷が残ります。
若い頃は「歳をとれば平気になる」と思っていましたが違いました。
傷は蓄積されるばかりで、最近では落ち込み方が激しく期間も長くなり、自分は何のために生きているのかと絶望します。

どんな仕事をしても、強くならなきゃと自分に言い聞かせながら頑張っても、途中で心が折れました。

去年まで私は学習塾で小学生に勉強を教えていました。
小学5年生の女の子に「ママが、“ミケシマ先生すごくちっちゃいからママの背が伸びたのかと思った”って言ってたよ」と言われたことがあります。
そういう親に育てられた子供は平気で人を傷つけます。

こういったことが一因となり、塾の仕事を辞めることにしました。
今は誰にも会わなくていい在宅ワークをしています。

人にはそれぞれの事情があります。
全身性エリテマトーデスという病気のことやステロイドの副作用のことも、もっと世間に知ってほしいと思っています。

私の手紙はこれで終わります。
最後までお読みいただきありがとうございました。

これを読んで、どのように感じられましたでしょうか?
私の気持ちを少しでもわかっていただけたら嬉しいです。
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※参考:ステロイド薬による成長障害
ステロイド薬の副作用

<最後まで読んでくれた方がいらっしゃいましたら心から感謝申し上げます。
Wordの文章をコピペしたのでフォントが変わっており、読みにくくて申し訳ないです。>
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いちばん恐れたのはOさんがこの手紙を読まずに捨ててしまうことだった。
なんとか最後まで読んでほしいという思いで書いた。

後日談は、また次回の記事に書こうと思う。


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